ほのぼの日和

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春の七草と秋の七草の由来と違いについて

春の七草秋の七草の由来と違いについて

春の七草秋の七草と言うけれど、どう違うの?と疑問に思ったことは無いでしょうか?春と秋の七草の成立と違いについて解説してみました♪

 

 

春の七草秋の七草ってどう違うの?

一番大きな違いは春の七草は、一年間に五回ある節句の内の一つですが、秋の七草万葉集山上憶良が詠んだ歌から選定されたことが一番大きな違いでしょう。
それでは、春と秋の七草の違いを次の項目から詳しく見ていきましょう!


春の七草の由来

現在では春の七草が通称となっていますが、かつては「七草の節句」「人日(じんじつ)の節句」といい、五節句の内の一つとなっています。
また、お正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるためにあると言われていますが、本来は、若菜の生命力を頂くために始まった風習です。
それを一番よく現しているのが、春の七草の筆頭である芹です。
冬の最中に採れる「冬芹」または「寒芹」は、同じ芹の中でも一番美味だとされ珍重されました。
現在では、春の七草はセットになって販売されているので、芹なども簡単に手に入るようになりましたね。
芹は、毒芹との区別がつきにくいため、個人で採取するのは難しい植物です。
もし、今年は芹を自分で採ってみたい方は山野草に詳しい方と一緒に挑戦してみましょう♪


 芹
   
 薺(なずな)
    
 御形(ごぎょう
   
 繁縷(はこべ)

 仏の座(ほとけのざ、現在のたびらこのこと)

 菘(すずな、現在の蕪を指す)

 蘿蔔(すずしろ、現在の大根のこと)

 


秋の七草の由来

春の七草と違い、秋の七草の由来は万葉集にて山上憶良が詠んだ歌によって選定されたものです。
なので、呼称の違いは春か秋かの違いしかありませんが。

内容は大きく違うのが特徴です。

また、春の七草は春の節句の一つですが先ほども述べた通り、秋の七草は歌から選定されたため節句ではありません。

それに加え秋の七草と呼ばれますが、初夏に咲く撫子や朝貌(桔梗)が含まれているのが特徴です。
下記の秋の七草を見て、植物に詳しい方にはピン!と来られた方もいらっしゃるかもしれません。
上から順に秋から初夏にかけて咲く花の並びになっているのです。
まるで、初夏から秋の澄んだ空に移り変わって行くような花揃えですね。
山上憶良は、恐らく花の順番によって初夏から秋の移ろいを表現したのではないでしょうか?

もっとも、これは私の個人的な見解であるため秋の七草歌人山上憶良の歌から成立したものであると認識しておくのみに、とどめておいて下さい。


 秋の野に 咲きたる花を
  
 指折り(およびをり)
  
 かき数ふれば
  
 七種(ななくさ)の花
  
 萩の花 

 尾花(現在のススキのこと)

 葛花

 撫子の花

 女郎花(おみなえし)

 また藤袴

 朝貌(あさがお)の花
  
※朝貌は桔梗のことを指すのではないかというのが定説になっています。
 もし、朝顔であれば桔梗より開花の時期が遅いため、一番最後にこないからだと推察されます。


さいごに

春の七草が店頭に並ぶと、成人式が近いなと感じるようになりました。
また、春の七草の時ではないと食べない山野草もあることから、昔と今ではずい分、食生活における食べ物が変化していることを実感しますね。
秋の七草は、上から順に読むと最後に夏を懐かしんで終わる、秋の夜長の歌に感じられたのではないでしょうか?