初心者でもカンタン水彩画の始め方とコツpart2
透明水彩絵の具を購入し、専用の紙や筆も揃えいざ描き始めてみたもののお手本通りにいかない、あるいはお手本を見ながら描くとうまくいくのに、自分で下絵をとってから塗り始めるとなんだかうまくいかない。そんな悩みを持ってはいないでしょうか?ここでは、静物画と風景画に焦点を絞ったコツを説明しています。
静物画を塗るときは下絵の輪郭線をなぞらないようにしよう
植物画や静物画の下絵を描いて、色を置いたらお手本みたいに綺麗に色が塗れない。そんな悩みをお持ちでしたら色の塗り方を確認してみましょう。
お花や花瓶などの輪郭線をなぞってから内側を塗っていないでしょうか?
水彩画は、透明感のある顔料を使っているため、あえて白い部分には色を置かずに白く塗り残すことで光を表現する絵画です。
そのため、輪郭線をなぞってから内側を塗ってしまうと均一に色を塗ることはできますが、光が当たっている部分を白く塗り残すことも、また光にむかって単色のグラデーションを作ることも難しくなってしまいます。
絵の具は、物体の影の部分、あるいは濃い部分に色を乗せ、そこから光が当たっている方向へ筆を動かし色を塗り広げていきましょう。もし、筆につけた色が濃く深いものであれば光が当たっている部分を紙が乾かないうちにティッシュで色を抜くか、筆を替えて水で薄く色を伸ばして塗りましょう。
静物画を描く時は、まずは光源(光が当たっている部分)を確認してから取り組みましょう。
風景画はグラデーションを意識しよう
風景画を塗ってみるも、のっぺりとしてメリハリがなく、なんだか重たい感じがする。ご自分が塗ってみた絵をそういう風に感じるようでしたら、グラデーションを意識して色を置きましょう。
まず青空を思い出してみましょう。恐らく、地平線近くの空は白く淡く、天頂にいくほど青が深い表情をみせていると思います。空を表現する時は、地平線を意識して地上に近い部分を白く塗り残す勢いで単色のグラデーションを作るとうまく表現することができます。
また、遠くのものほど白く淡くなり山であれば形だけとり、単色のグラデーションで表現するように努めると近景のはっきりとした深く濃い色合いと相まって、奥深い表現に繋がります。
静物画は色の対比で画面にメリハリをつけよう!
まず、メインとなる物の色に対になるような色を背景色として選びましょう。暖色系のオレンジがメインの色でしたら、背景色は淡い紺色など、暖色系に対して寒色系でまとめると画面にメリハリが生れます。また、ピンク色に対して水色を挿し色として乗せると、画面に動きやリズムが生れて絵が単調ではなくなります。
また、絵具の色を表にしたものや、混色表をあらかじめ作っておくと、色を塗る前に悩まずにすみます。(混色表を作る時は、何色を何%混ぜたらこの色になった、とメモを必ずつけておきましょう)混色が苦手でしたら、絵の具の色数を揃えて対応しましょう。
静物画や風景画の下絵がうまくいかない時は
描きたい静物や風景を写真に撮り、水彩紙の大きさに合わせてプリントアウトしましょう。ご自宅にあるプリンターで白黒で構いませんので出力します。
プリントした紙の裏を鉛筆で黒く塗り、水彩用紙の上に乗せ描きたいものの輪郭を上からなぞって水彩紙にトレースダウンしましょう。インターネット上にある写真は、撮影された方に著作権があるため、完全に個人の趣味でトレースダウンし彩色し学ばれるのであれば、全く問題はありません。
ですが、ご自分の著作物であるとインターネット上で公開したり、個展を開催して描いた絵を販売するのは違法ですので、注意しましょう。
大きな絵に挑戦する時は
大きな絵の紙のサイズと縦横比が同じ小さな紙に、まず本番と同じように下絵を描き色を塗りましょう。
その後、その絵をコピーして印刷します。画面を9分割あるいは9の倍数などで割り、分割線をコピーした紙に引きましょう。
大きな絵用の紙にも同じ数ほど分割し薄く線を引きます。そうすると、下絵で分割したマス目に描かれている物を確認しながら、大きな紙に下絵を描いていくことができます。
さいごに
絵を学ぶ時は、上手な方の作業工程を見て勉強することがほとんどだと思います。ご自分の中でうまく描けない点がクリアであれば、その作業工程からここの部分は、こうして描いてるからああなるんだと、結果に対する過程を学びとして汲み取ることができます。
しかし、回数を重ねて描いてみても自分の絵はどの部分が良くないのか。どこを直せばもっと上手くなるのか?など客観的な視点を持って冷静にご自分の作品を眺めることは、なかなかできないと思います。
なので、ある程度この部分を押さえておけば、絵として完成された作品ができるポイントを紹介させて頂きました。皆様の水彩画が生き生きと輝きだすよう祈念しております。